人の気持ちと昔の失敗

S.

2012年08月10日 20:20

むかしむかし、あるところに新社会人がいました。

彼の仕事は人材派遣の営業。
派遣社員のみなさんのフォローも大事な仕事でした。

何も問題がなければよいのですが、なかなかそうはいかず
悩み相談室になることもしばしば。

ある日、上司とうまくいかない・・・という相談を受けました。
未熟者ながら、一生懸命こうしたらいいんじゃないですか、
ああしたらいいんじゃないでしょうか、とアドバイスをしました。

彼は「正しい」提案をしたつもりでした。
実際、彼が話した内容はそんなに間違ってはいなかったのです。

ところが、相談してくれた方の表情はどんどん曇ります。
最後は「そうですね。わかりました。」と明らかに不満の
残る表情で面談は終わってしまいました。

それから、その方はあまり相談をしてくれなくなりました。
そしてしばらくしたのち、職場を去っていきました。

彼は落ち込みました。自分は正しいアドバイスをしたのに・・・

同じような経験を何度もしたのち、彼はアドバイスするのをやめました。
その代わり、じっくり、しっかりと話を聞く事にしました。

「その考えは甘いです」「こうした方がいいです」そんな言葉を
何度も飲み込んで、うなずき、耳を傾けました。

すると、徐々に相手の表情が変わってきました。
こちらから何もアドバイスをしていないのに、相談してきた方が
自分で問題を整理し、前向きに考えてくれるようになったのです。

彼は反省しました。行うべきだったのは「正しい指摘」ではなく、
問題の根っこ、「言葉になっていない気持ちを汲むこと」だったのです。

彼はそれからも失敗をしながら、それなりの営業になったとさ。
おしまい。


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帰省のため、8/15までお休みを頂きます。
ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします。

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